Amazonで売れない本当の原因。現役セラーは「3つの数字」で切り分ける

「Amazonで売れない原因10選」を上から順に試しても、原因は特定できません。売上はたった3つの数字に分解できます。どの数字が壊れているかを見れば、あなたが打つべき手は一つに絞れます。現役セラーが使う切り分けの手順を解説します。

監修: 廣瀬正拓(中小企業診断士 / 現役EC事業経営者)

「対処法10選」を試してはいけない理由

Amazonで売れないとき、多くの人が「売れない原因10選」のような記事を読み、上から順に手を打とうとします。価格を下げ、キーワードを足し、広告を回し、画像を変える。しかしこのやり方には根本的な問題があります。

原因を特定しないまま対処法を並行して試すと、何が効いたのか分からなくなるのです。仮に売上が戻っても再現できず、下がってもどれが悪かったのか分からない。これでは経営判断になりません。正しい順序は、対処の前にまず「どこが壊れているか」を数字で特定することです。

医者が問診も検査もせずに薬を出さないのと同じで、原因の特定を飛ばした対処は当てずっぽうです。売れない商品にも、必ず特定の弱点があります。それを数字で見つけてから、その弱点だけをピンポイントで直す。この順序を守るだけで、同じ労力の効果が何倍にも変わります。以下では、その特定の方法を具体的に解説します。

売上を3つの数字に分解する

Amazonの売上は、必ず次の3つの掛け算に分解できます。

売上 = セッション数 × CVR(ユニットセッション率) × 平均単価

  • セッション数 … 商品ページが何回見られたか
  • CVR … 見た人のうち何割が買ったか
  • 平均単価 … 1回の販売でいくら受け取ったか

売れないという現象は、必ずこの3つのどれか(または複数)が低いということです。そして3つのどれが問題かによって、打つべき手はまったく違います。セッションが少ないのに商品画像を直しても意味がなく、CVRが低いのに広告を足せば赤字が広がるだけ。だから最初に切り分けるのです。数字はAmazonのビジネスレポートで確認できます。

この分解の優れている点は、「売れない」という漠然とした悩みが、必ず3つのどれかの問題に還元されることです。世の中の「売れない原因10選」のような施策も、突き詰めればこの3つのどれかに効かせるための手段にすぎません。画像の改善はCVRへの打ち手、キーワード対策はセッションへの打ち手、セット販売は単価への打ち手です。つまり、先に3つのどれが低いかを見れば、無数にある施策の中から自分に必要なものだけを選び取れます。10個の施策を上から試す必要はなく、壊れた1つの数字に対応する施策だけをやればいい。これが切り分けの威力です。

数字1: セッションが少ない(見られていない)

そもそもページが見られていない状態です。この場合、いくら商品ページを磨いても売上は動きません。露出の問題だからです。原因と打ち手は次の通りです。

  • 検索で見つからない。狙うべきキーワードがタイトルや商品情報に入っていない。まず検索対策
  • 検索順位が低い。販売実績が少なく、上位に表示されていない。広告で初速をつける段階
  • そもそも需要のないキーワードを狙っている。検索されない言葉で1位でも、セッションは増えません。この3つは原因が違えば打ち手も変わり、商品情報の見直し、実績づくり、キーワードの選び直しと対応が分かれます

セッションが少ないときの主な武器は、検索対策と広告です。とくに新規商品は、販売実績ゼロの状態から自然検索で上位に来ることはないため、広告で最初のセッションと販売実績を作る必要があります。

ここで注意したいのは、セッションが少ない状態でページの細かい改善に時間を使わないことです。見られていないページをいくら磨いても、そもそも見る人がいなければ売上は動きません。優先順位は明確で、まず露出を作る。検索で拾われる言葉を商品情報に入れ、広告で初速をつけ、セッションが立ってから中身の改善に進む、という順序です。順番を逆にすると、労力の割に成果が出ません。

また、狙っているキーワードそのものに需要があるかも確認します。仮に検索されない言葉で1位を取っても、流入はほぼありません。ボリュームのある言葉で戦えているか、ずれた土俵で1位を目指していないかを、露出づくりの前に見直します。

数字2: CVRが低い(見られても買われない)

セッションはあるのに買われない。これはページと商品そのものの説得力の問題です。この状態で広告を増やすのは、穴の空いたバケツに水を注ぐのと同じで、広告費だけが溶けていきます。まず直すべきはCVRです。

  • メイン画像で選ばれていない。検索結果で競合に埋もれている
  • ページが不安を解消できていない。サイズ・材質・使い方への疑問が残ったまま離脱
  • 価格・レビューで負けている。競合と並んだときに選ぶ理由がない

CVR改善は効果が大きく、しかもセッションを増やす前にやるべき順序の上位に来ます。具体的な点検項目はAmazon商品ページのCVR改善チェックリスト22項目にまとめています。

CVRが低いときにまず疑うべきは、メイン画像です。検索結果の一覧で、人は数百ミリ秒で見る商品を選びます。ここで競合に埋もれていれば、そもそもページに来てもらえず、来た人も第一印象で離れます。次に、サイズ・材質・使い方といった、買う前の不安を解消できているか。商品ページは、対面できない販売員の代わりです。よくある質問に先回りして答えているページは、CVRが自然と上がります。

CVR改善が費用対効果で優れているのは、追加の広告費がかからないからです。同じセッション数でも、CVRが1.5倍になれば売上も1.5倍です。人を増やさずに成果を伸ばせる、いちばん割の良いレバーがCVRだと考えてください。

数字3: 単価が低い(買われても残らない)

見落とされがちなのが単価です。売れてはいるのに事業として苦しいなら、単価と、そこから手数料を引いた「手残り」に問題があります。中小企業診断士の視点では、ここが最も重要です。

  • 安売りで数を売っている。売上は立つが利益が残らない
  • 手数料を計算に入れていない。販売手数料・FBA手数料・広告費を引くと実は赤字
  • セット販売や上位商品への導線がない。単価を上げる設計がない。単価は3つの中で最も見落とされ、しかも手残りへの影響が大きいため、ここを直せば競合と差がつきます

「売れているのにお金が残らない」は、単価と手残りの問題です。手数料を含めた実利益の考え方はAmazonの手数料で利益が消える。手残りから逆算する値付けの考え方で詳しく解説しています。

単価の問題が厄介なのは、売上グラフだけを見ていると気づけないことです。数を売って売上が伸びていると、一見うまくいっているように見えます。ところが1個あたりの手残りが薄ければ、忙しさだけが増えて利益は残りません。だから単価は、売上ではなく「1個あたりいくら残るか」で見ます。仮に単価を1割上げても離脱がほとんど増えないなら、それは値付けが低すぎたサインです。安易な安売りは、この確認をせずに手残りを削っている状態だと言えます。

単価を上げる打ち手は値上げだけではありません。関連商品とのセット販売や、上位グレードへの導線を用意すれば、1回の購入単価そのものを引き上げられます。ページに「この商品を買う人はこちらも」という設計があるかどうかで、同じ客数でも売上は変わってきます。

切り分けの実践手順

実際の診断は次の順で行います。

  1. ビジネスレポートで3つの数字を出す。セッション、CVR(ユニットセッション率)、平均単価を商品ごとに確認する
  2. 同カテゴリの水準と比べる。絶対値ではなく「何が相対的に低いか」で判断する
  3. 最も低い数字から手を打つ。3つ同時ではなく、ボトルネックを1つずつ
  4. 2週間単位で効果を測る。1つ直したら数字が動いたか確認してから次へ

4番目の「2週間単位」は、多くの人が守れていないポイントです。施策の効果が数字に表れるには時間がかかります。数日で判断すると、たまたまの上下を効果と勘違いし、次々に手を変えてしまいます。一つ直したら、最低でも1〜2週間は様子を見て、狙った数字が動いたかを確認する。動いたなら次のボトルネックへ、動かないなら打ち手を変える。この落ち着いたリズムが、結局は最短の改善につながります。

順序が命: セッションが少ない商品にページ改善をしても、CVRが低い商品に広告を足しても、努力は空回りします。「どの数字が低いか」を先に見るだけで、同じ労力の効果が何倍にもなります。

ビジネスレポートで3つの数字を出す

切り分けの土台になるのが、セラーセントラルのビジネスレポートです。ここに、商品ごとのセッション数、ユニットセッション率(CVR)、売上、注文数が並んでいます。まずはこのレポートを開き、主力商品の3つの数字を書き出すところから始めます。感覚で「売れない」と言っている限り、原因は特定できません。

数字を見るときのコツは、絶対値ではなく比較で見ることです。セッションが1日100あるのが多いか少ないかは、単体では判断できません。同じ商品の先月と比べる、同カテゴリの他商品と比べる、という相対的な見方をして初めて「どこが相対的に低いか」が見えてきます。3つの数字のうち、他と比べて明らかに見劣りする一つが、あなたのボトルネックです。まずはこの一点を見つけることに集中してください。

補足: レポートは期間を変えて見比べると発見が増えます。例えば直近7日と、その前の7日を並べると、どの数字がいつ変化したかが分かります。売上が落ちた日を起点に、セッションが落ちたのかCVRが落ちたのかを見れば、原因の当たりが一気に絞れます。

ボトルネックは同時に複数直さない

3つの数字を見ると、つい全部を一度に良くしたくなります。しかしこれは、冒頭で述べた「対処法を並行して試す」失敗に逆戻りです。原則は、もっとも低い一つから、順番にです。

例えば、セッションもCVRも低い商品があったとします。ここでページ改善と広告を同時に走らせると、売上が動いても何が効いたか分かりません。正しくは、まずボトルネックの大きい方、多くの場合はCVRから直します。CVRが低いまま広告でセッションを増やしても、集めた人が買わずに離脱し、広告費だけが溶けるからです。買われる状態を作ってから人を集める、というのが効率の良い順序です。ボトルネックを一つずつ潰していけば、一つ直すたびに次に低い数字が見えてきます。この繰り返しが、感覚に頼らない着実な改善のかたちです。

数字別・打ち手の早見表

どの数字が低いときに、何を優先すべきか。実務で使っている対応の早見表を示します。

低い数字意味優先する打ち手
セッション見られていない検索対策と広告で露出を作る
CVR見られても買われないメイン画像とページの説得力を直す
単価買われても残らない値付けとセット設計、手残りの見直し

表の通り、同じ「売れない」でも、低い数字が違えば打ち手は正反対になります。セッションが問題の商品にページ改善をしても徒労ですし、CVRが問題の商品に広告を足せば赤字が広がるだけ。まず数字を特定し、この表で打ち手の方向を確かめる。それだけで、努力の空回りを防げます。手元にこの表を置き、売れない商品が出るたびに「今どの数字が低いか」を当てはめる習慣をつけると、判断がぶれなくなります。

よくある失敗: 感覚と他人の成功例で動く

切り分けをしない人が陥る典型を挙げます。

  • とりあえず値下げ。単価とCVRを混同し、本当はページの問題なのに価格を下げて手残りだけ削る
  • 他店の成功例をそのまま真似る。相手のボトルネックと自分のボトルネックが違えば、同じ施策は効きません
  • 広告を増やせば解決すると思い込む。広告はセッションの薬であって、CVRや単価の薬ではありません
  • 効果測定の期間が短すぎる。数日で判断してしまい、たまたまの上下に振り回され、本当は効いていた施策を捨ててしまう

どれも、原因を特定しないまま「よく聞く対処法」に飛びついた結果です。売れない状態を抜け出す最短ルートは、派手な施策ではなく、地味な数字の切り分けにあります。焦って手数を増やすほど原因は見えなくなる、という逆説を覚えておいてください。

まとめ: 原因を特定してから動く

「Amazonで売れない」は、感覚ではなく数字で切り分けられます。セッション、CVR、単価。この3つのどれが壊れているかを見れば、打つべき手は自ずと決まります。逆に言えば、この切り分けを飛ばして施策に飛びつくのが、遠回りの正体です。

  • ビジネスレポートでセッション・CVR・単価を確認したか
  • 3つのうちどれが相対的に低いか特定したか
  • 最も低い数字に対して手を打っているか
  • 複数の施策を同時に走らせて、効果が分からなくなっていないか

対処法を試す前に、まず原因を特定する。それだけで、売れない状態から抜け出す速度は大きく変わります。ビジネスレポートを開き、3つの数字を書き出し、最も低い一つから手を打つ。派手さはありませんが、これが最も再現性の高いやり方です。数字で切り分ける習慣がつけば、次に別の商品が売れなくなったときも、同じ手順で冷静に原因へたどり着けます。

「どの数字が壊れているか」を、
現役セラーが一緒に診断します

御社の商品のセッション・CVR・単価を実データで切り分け、打つべき手を優先順位付きでご提案します。診断だけの単発相談も可能です。初回相談は無料です。

無料相談を予約する
監修者 廣瀬正拓

この記事の監修者

廣瀬 正拓

中小企業診断士 / EC事業経営者

自社ECブランドを企画から販売まで手がけ、累計10万個以上を販売。Amazon・楽天・Shopify・Qoo10の4チャネルを現役で運営しながら、EC事業者向けの戦略コンサルティングと業務効率化ツールの開発支援を行う。プロフィール詳細

EC・物販の「次の一手」を、
現役セラーと一緒に設計しませんか。

戦略設計から実行、ツール開発、ライセンスグッズの立ち上げまで伴走します。初回相談は無料です。

無料相談を予約する
監修者 廣瀬正拓

この記事の監修者

廣瀬 正拓

中小企業診断士 / EC事業経営者

自社ECブランドを企画から販売まで手がけ、累計10万個以上を販売。取り扱いIP・版権元は30社以上、年商1億円超のEC物販も複数支援。Amazon・楽天・Shopify・Qoo10の4チャネルを現役で運営しながら、EC事業者向けの戦略コンサルティングと業務効率化ツールの開発支援を行う。実務の知見はコラムで公開中。

監修者のコラムを読む →

この記事を書いた人

目次